DUT理論 図

みなさんは『DUT(ダット)理論』という言葉を聞いたことがありますか。これは勉強で目標を達成するための基本法則なのですが、実はこれはスポーツにおける目標達成の法則と完全に一致しているのです。そのため誰でもその考えを理解することができる、とても分かりやすい考えといえます。

誰もが知っているあの野球選手、イチロー選手を例に挙げてご説明します。イチロー選手が大リーガーとして大活躍するようになった要因は、わずか3つに絞ることができるのです。それが、D・U・Tの3要素です。

要素その1

それはなんといっても、「野球が上手くなりたい、そしていつかはプロの野球選手になりたい」という強い欲求(Desire)です。

要素その2

では、強い欲求の次に必要なものは何でしょう。「ただ野球選手になりたい」と言っているだけでは、プロの選手にはなれません。次に必要なことは野球の上手な人に正しいフォームや理論を教えてもらい、それをしっかりと理解する(Understand)ことです。幸いなことに、イチロー選手にはとても教育熱心な父親がいました。チチローと呼ばれているこの熱心なコーチは、自宅にいるわけですから、さぞかし理解も進んだことでしょう。

要素その3

そして3番目に必要なもの。もう言うまでもありません。強い欲求を持って正しい理解をしたあとは、誰よりもたくさんの練習(Training)を効率よくこなすだけです。この『効率よく』ということもとても大切です。時間は限られていますから、短い時間に最大限の効果を上げられるよう工夫することも大切です。いずれにせよ、この欲求(Desire)・理解(Understand)・練習(Training)の3本の柱が目標達成に必要な最大の要素なのです。それがDUT理論です。

DUT理論は勉強にも当てはまる

では、これを勉強に当てはめてみましょう。最初にお話ししたように、これが見事に一致するのです。成績を上げたいと思ったら、まず「テストで良い点を取りたい、好きな学校へ行きたい」という欲求が不可欠です。そして、もちろん勉強の内容が分からなければ仕方ありません。ですから、次に大切なことは、学校や塾での授業を良く聞き、内容を理解することです。そして最後に必要なことは、理解したことを身に付けるため、それに要した時間の何倍も練習することです。ちなみに、勉強の場合の練習とは、教科書やノートを読むことではなく、練習問題をたくさん解くことです。

こんなことを書くと、「そんな当たり前なこと、言われなくても分かっている」と思われる方も多いと思います。しかし、よく考えてみてください。こんな当たり前のこと、欲求・理解・練習の3本の柱が大切だという考えは、スポーツの場合は浸透していて練習を一番大切にしているのに、勉強となると練習が圧倒的に不足してしまうのです。 どうですか、成績が上がらない生徒というのは圧倒的に問題演習が足りないのではないでしょうか。

教わって理解できたことでも、練習が足りなければ本物の実力は身に付きません。DUT理論、それは「理解すること以上に練習が大切である」という理論でもあるのです。トレーニングの量を増やすということが学力を上げる一番の近道という、当たり前のことを、もう一度考え直してみましょう。